この気持ちや事実を誰かに話すことが出来たら理解してもらえるのに、そして、楽になれるのにとお悩みの方はおられませんか。でも、そうは言っても『人には話せないことがある』とお思いですよね。それゆえに、何事もないかのように「平然と生きている」方も多いことだろうと推察できます。
まさに、このタイミングで『人には話せないことがある』というタイトルのブログを書くことになろうとは思ってもいませんでした。本当にそんな気持ちです。
ちなみに、今から10年前のことです。偶然、新聞の土曜日版で『伊集院静』さんの「人はそれぞれ事情をかかえ、平然と生きている」という言葉に出会ったのです。それ以降、この言葉は私の人間関係に大きな意味をもたらしてくれました。そして、いつかこのタイトルでブログ記事を書こうとしていたのです。
それなのに何ということでしょう。思いもよらず、昨日の24日に『伊集院静』さんがお亡くなりになられたという報道に接したのです。
ここに謹んでご冥福をお祈りいたします。
目次
1. この言葉に出会ってからの変化
この「人はそれぞれ事情をかかえ、平然と生きている」という言葉ほど人間生活の奥深さを言い表した言葉はないように思っています。なぜかそう理解すると色々な面で合点が行くのです。
例えば、私の気の合う仲間や後輩でも、彼らに何かあった時に初めて知る現実があります。そもそも詮索すること自体が少なかった私は本当に個人情報を知らない人間でした。しかし、その分、多くを聞かずともその人の状況を感じ取ってしまうようなところがありました。さらに状況をそれほど聞かなくても納得してしまうようなこともあったように思います。
それは、つまり『人には事情がある』ということを認識していたのだろうと思います。だからこそ、『伊集院静』さんのこの言葉に出会ってからはさらに詮索しなくなりました。
2. 人に優しく、そして強く
自分の周りで人知れず悩んでいる人の姿を見ると、つい「人はそれぞれ事情をかかえ、平然と生きている」という言葉が浮かんで来ます。なぜかしら「何か、悩んでいるんじゃない?」と声をかけてしまいます。たとえ、自分たちにとっては大したことではなくとも、その人にとっては大きな意味を持つ場合もあります。だからこそ、真摯に向かい合ってあげることが大切なのです。
逆に、誰かがその人のことを批判していたりすると、「人は色々な事情をかかえているんだよ。だから事情も知らないで簡単に人を決めつけないように」と指摘します。すると、その誰かの手が一瞬止まります。
間違いなく、『人には話せないことがある』ということも事実です。否、それは話してはいけないことかも知れません。そのために自分を律している姿を理解してあげる優しさや強さ、そして余裕を持つことが必要です。
3. これからの生き方
ちなみに、「何かあったら言ってね」あるいは「何かあったら相談してね」という声掛けでは多くの人が相談には来ないと思いませんか。なぜならば、その相手も自分も「人はそれぞれ事情をかかえ、平然と生きている」うちの一人だからです。つまり、相手の中にも自分と同じものがあり、自分の中にも相手と同じものがあるのです。
ですから、黙して語らずの人に無理強いをしてはいけません。でも本当に気になるのなら、時折、何でもないような声掛けをしてあげることです。結果的に、その言葉は相手の心に響きます。
こんな風にして人に優しい人生を送ることは大切ですが、反対に自分がそうなった場合には「人には話せないことがある」などと頑なにはならず、少しの言葉で話を濁してしまっても、周りの人たちはきっと理解してくれるはずです。
そうして平然と生きていくのです。
4. 終いに
かえすがえすも今回の『伊集院静』さんの訃報はいたたまれない気持ちになります。それでも「人はそれぞれ事情をかかえ、平然と生きている」のこの言葉はこれからも私の中に生き続けて行くでしょう。その中で、優しさと強さと余裕を失うことのないように心がけて、出来れば少しでも人助けになる人生を送っていきたいものです。
今回もここまでお読み下さりありがとうございます。
2023年11月25日 さえき ひかる


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